無理矢理たねつけしてみた。
でも、うそはついていない。
無防備な下から鏡で覗き込んで、固くて長い棒でぐりぐりと。
しかも、やった相手は人間ではない。猫やイヌと言ったものでもないし、馬や豚といった定番動物でもない。
ああ、どんな子供が出来るか楽しみだ。生まれたら喰う。うふふ。
ポポーという植物がある。ボォボォともポーポーともいうらしいし、アケビガキという日本的な呼び方もある。果樹である。
9月から10月にかけて甘い実がなるらしく、その実は、カスダードクリームのような歯触りで、バナナやマンゴーや栗が混じったようなふしぎな味がするらしい。みな口を揃えて甘いという。なにやらうまそうだが市場にはほとんど出ないらしい。
うん。これは喰ってみたい。
ネットで調べると育てるのは結構簡単らしい。はい。注文。
2本買ったうちの一本には花が咲いていたが、どうもこのポポーというやつ、自家受粉してくれないそうなのだ。つまり遺伝的にことなる株が二本ないと実がつかないのだな。というわけであきらめたのが去年の4月。
んで2年目。
今年は2本とも花を咲くのを期待したわけなのだが、5年待っても咲かないというブログを見て不安になり、咲いていたのを送ってくれた花屋に3本目を注文。
ぬふふ。これで準備万端。9月か10月には食える! とわくわくしていたのだが。
この流れでお察しの通り、今年も去年咲いたやつしか咲かなかった。送られて来たのは最初から新芽が芽吹き葉が開き始めていた。このポポーという奴、新芽から葉がでてくるのは花が咲いたあとと決まってるので、これで今年もジエンド。
だが食べたい。あー食べたい。食い意地ゆえにあきらめきれぬ。
往生際悪くネットを調べると、ポポーが自家受粉してくれないのは一つの花でまず雌しべが活動を始め、雌しべの活動が終わるとおしべが活動開始で花粉を作り出し、よって雌しべとおしべは子供を作れないからだ、という衝撃の事実。
なら、先に開花しておしべが活動を開始した奴から花粉を採取し、後から開花して雌しべが活動している奴につけてやればどうだろう。でも、そんなうまい話があんのかなぁ。と思っていたら、すでにやっている人がゴロゴロいた。ネットは広大である。
そこで無理矢理たねつけである。
ヤルしかないでしょう。
だが、やってみるとこれがなかなか難しい。
花粉が出ているかどうかを見るのがまず難しい。
ポポーの花は下を向いている上に、うちのは高さ40センチもないので覗き込むのが大変である。
手鏡でもあればなー、と考えていて思いだしたのが貯金箱。
ごく最近、部屋の整理をしていて20年以上の眠りからさめたやつ。手のひらで包みこめる程度の大きさで、貯めるほどの収入もないので即捨てるつもりだったが、中にお金が入っている音がして、捨てるに捨てられず部屋の隅に転がしておいたのだが、こいつに小さな鏡がついていた。こいつを花の下にかざせばばっちり隠れてる場所が見える。
しかも、下にかざした状態で、ちょいちょいと花を突っついてやると、ぽろぽろ落ちた花粉は小さな鏡の上に。こりゃ便利。その上、お金まで貯金出来るのだ。
鏡の上に落ちた花粉を濡らした綿棒の先端で集めてくっつけて、雌しべにぐりぐりとこすりつけてやったのが一昨日だったか。これで花びらが落ちても花の根元の部分が落ちなければ成功である。もしこれが失敗でも、咲いてない花はあと10個ばかりあるんで、ひとつかふたつは実ってくれるといいなぁ。
ああ、はやく食べたい。