丸谷秀人のブログ

エロゲシナリオライター丸谷秀人の棲息地。お仕事募集中

ブログを書くのはえんやこら

 12年ぶりに全プロット・全シナリオを書いたエロゲの新作が3月末に出るので、少しは宣伝の足しになるかと思いブログを書こうと思い立ったのだが、久しぶりすぎて編集画面に入る方法を忘れていた。

 

 そんなにも長く放置していたのかと、一瞬だけ驚いたが、考えてみれば当然のことであったのだ。

 

 なぜなら、ブログを書くのは、私にとって拷問にも等しい重労働だからだ。仕事で書くテキストと異なる様々なハードルが立ち塞がるのだ。

 

 まずネタが浮かばない。

 まちがっても炎上してはいけない、政治的なことや宗教的なことには触れずに済ませなければならない、なにかの立場を表明してはいけない、仕事上の機密に触れるなどもってのほかだし、誰かを笑いものにするのもいけない、笑いものにしていいのは自分だけだが、それも過度にやれば、不快感をもつ方々もいるかもしれない。かと言って、過去の参加作品について書くのももってのほかである。なぜなら、エロゲーは私1人で書いているわけではなく、それを「へっへっへ。自分の作品でございますればどんどん語りますぜ!」みたいに勝手に自分語りするわけにもいかない。

 

 あたりさわりがなく、読み終わった瞬間に忘れるような内容だが、読んで頂いている最中は面白いと思っていただけるものがいい。

 

 こんなん書けるか! と我ながら思う。

 

 考えすぎではないかとも思う。腐ったエロゲーシナリオライターのブログなど読む人間がいかほどいるというのか、一桁か、ひょっとしたらゼロではないだろうか、そもそも存在が知られているのか、一応仕事の募集をしている場所なのだから、たまには炎上でもして宣伝した方がいいのではないか……とすら思うことがある。

 だが、私は非常にチキンなので『わっはっは燃えろ燃えろ! 炎上上等! 心頭滅却すれば火もまた涼し!』と豪快に笑って見ていられる神経の人がうらやましくてたまらない、よって炎上なんかしたら、即日ブログを畳んでしまうのは目に見えている。

 

 そんなわけでブログのネタを考えるのは重労働である。

 

 さて、上記の非常にハードルが高い自己規制を突破したとしても、次に時期の問題がある。ブログを書くのがまずい時期というのがあるのだ。ずばり、仕事にとりかかっている期間である。

 考えてもみてほしい、仕事にとりかかっている最中にブログの更新、しかも内容があたりさわりがなくからっぽで頭の悪いものだったら、仕事先の相手になんと思われるかと。仕事そっちのけでこんなものを書きやがって……と思われるに違いない。そのうえ、内容が空疎で頭が悪いと来たら、こいつにシナリオ作業を発注したのは間違いだった、今からでも別のもっと頼りがいのあるシナリオライターに変えよう。という展開になる。仕事をなくすということは、お金が入らないということで最悪である。

 

 というわけで、さまざまな自己規制の山脈を突破したネタも、時期が悪いとネタ帳に沈めるのだが、こういうものは簡単に風化してしまうので、だいたいは沈んだままになってしまうのだ。

 

 そして、これらの関門をくぐりぬけ、ようやく書き上げたブログも、あとで読み返すと、あまりにもあたりさわりがなく、つまらなく、どうでもいいので、自己嫌悪の大波が襲いかかってくる。そうなると次は、更に自己規制が高くなってしまうのだ。

 

 こんなどうでもいい空回りの気配りとせんでもいい気苦労をしてしまうので、気楽には書けず、思いついてもすぐぐったりしてしまい、結局は書かないことになってしまうのだ。

 

 ああ、疲れた。